CD新譜情報2000

  

00/12/21

「ゴジラがゾロゾロ」

ゴジラ映画の新作が封切られると出てくるアンソロジーが今年も続々登場です。既に紹介した「ミレニアム ゴジラ ベスト 伊福部昭 東宝映画音楽傑作集」が東芝EMIからで、今度のはキングからなのですが「ゴジラがゾロゾロ」という何ともふざけたタイトルです。(個人的には、再編集版がゾロゾロという気分なのですが、ほとんど購入している私も偉い!と思ってしまう。)何しろ、@ゴジラの鳴き声・足音に始まり、Aオリジナルのサントラ(ゴジラM1)、続いてB広上版のSF交響ファンタジー第1番(細かなトラック分けはなし)、C野獣王国による編曲版、OSTINATOからD「ゴジラ対特車隊」(モスゴジM23)及びEゴジラ・タイトル(ゴジラM1)、FKOKOOによる編曲版、Gジャック・ウォラスによる編曲版、Hニール・ノーマンによる編曲版、I汐澤版のSF交響ファンタジー第1番(日比谷公会堂の初演)、Jオリジナルのサントラ(ゴジラM1)<Aと同じ>、K”シークレット・トラック ゴジラの卵”と続きます。基本的には、私が持っていないのは、野獣王国の「フル・ファンタジー」(KICP741)だけで、それ以外の編曲版は皆所有しており、CD-Rで焼けばほぼ同じものが作れるのである。ライナーノートも読まずに、CDの裏面を見ただけで、ほとんど原典がわかってしまった、、、ほとんどこのHPで解説を加えたアルバムの収録曲である。(オリジナルやOSTINATOはコメントしてないですが。)しかし、ニール・ノーマン版を入れるくらいなら、井上誠さんの「ゴジラ伝説」版や、イタリア版とかも入れて欲しかったなあ。シークレット・トラックだけは、裏面を見ただけではわかりませんでしたが、”あれ”の第1楽章です。(もちろん広上版)

 

00/12/6

「ミレニアム ゴジラ ベスト 伊福部昭 東宝映画音楽傑作集」

東芝EMIより「ミレニアム ゴジラ ベスト 伊福部昭 東宝映画音楽傑作集」という再編集物のCDが発売されました。最初の「ゴジラ」から「メカゴジラの逆襲」までの音源がモノラルしかないもの(OSTINATO等新録を除く)について、デジタル・リマスタリングを施し、技術的にステレオ化したものです。昔ステレオが出始めた頃のLPに擬似ステレオ化した例はありましたが、現代の科学ですから、それなりに仕上がっています。収録作品は、上記の他「ラドン」「地球防衛軍」「バラン」「宇宙大戦争」「キングコング対ゴジラ」「海底軍艦」「モスラ対ゴジラ」「ドゴラ」「三大怪獣」「フラバラ」「怪獣大戦争」「サンダ対ガイラ」「怪獣総進撃」と、ほぼタイトルに相応しいベスト版となっています。こういったアンソロジーには賛否両論あるかと思いますが、構成を担当された早川優さんも「好き嫌いが分かれるかもしれません。」と言われていました。OSTINATO等のように録音し直した場合には、若干曲のイメージが変わるので、オリジナルのイメージを損なわないという意味では、面白い試みです。しかし、逆に意識して聞かないと、モノラルの平板な音のイメージが強過ぎるかもしれません。

でも、作品紹介で「三大怪獣」が全く「ドゴラ」と同じになっているのが、校正漏れで情けないです。最近自分も本を出した(本業関係)のですが、校正には随分と神経を使ったものです。人間の仕事であり完璧と言うことはありえませんが、一目でわかるようなミスはアルバムの品位を下げるので、関係者には丁寧なチェックをお願いしたいと思います。

なお、同日に「メガギラス」のサントラも発売されています。伊福部先生のゴジラのテーマも蛇足とは思うが収録されています。音楽としての出来は素晴らしいと思います。後からコントラバスを重ねたとか、ゴジラとがっぷり四つに組んだ大島ミチルさんの素晴らしい仕事だと思います。富山Pはじめ映画関係者絶賛です。私は映画情報に書いたように、東京湾上陸シーンに伊福部音楽を使ったのは余計だと思いますが、富山Pに個人的に尋ねたらお約束だと思ってくださいとのことでした。

 

00/秋

「岩森助 歌の世界」

ともともさんから教えていただいた歌曲のアルバムに、「シレトコ半島の漁夫の歌」が入っていました。バリトンの岩森榮助さんは、現在名古屋芸術大学名誉教授で、過去には、「ギリヤーク族の古き吟誦歌」をリサイタルで取り上げられたこともあるようです。藍川さんのソプラノだけでなく、様々な演奏を聞くのも良いですね。なお、このCDについては、製作東芝EMIですが、番号はIWMO-2000となっており、銀座の山野楽器では、委託販売の扱いになっていました。

 

00/9/15

「阿部保夫 ギター芸術の世界」

先日グラモフォン・ジャパンの最終号を書店で手にとって見ていて、プレゼントの欄に見慣れぬCDがあって驚きました。「阿部保夫 ギター芸術の世界」(SGNJ-1016 ジネット・ヌヴー協会ジャポン 製造:東芝EMI)です。そこには、伊福部昭の「ギターのためのトッカータ」収録とあるではないですか。早坂文雄の連載が終わってから、同誌は立ち読みに終始していたのですが、休刊前なので念入りに読んでみたらの新発見でした。(それでも、立ち読みだったのですが。)で、現物は銀座の山野楽器であっさりと発見入手できました。1999年に阿部保夫さんが亡くなられたのを追悼するアルバムで、中にちゃんと「ギターのためのトッカータ」(東芝から以前に出ていた阿部保夫ギター珠玉アルバムのLPと同じ音源)が収録されていました。即ち、同曲の献呈・初演に当たる貴重な録音です。つい最近生演奏で聞いたばかりなので、思わずビックリでした。

 

00/5/3

東京佼成ウィンド・オーケストラ演奏、秋山和慶指揮による「バーレスク風ロンド」が発売されました。佼成出版社のCDブック形式です。(KORB-2001 \2,000) LP発売当時のオリジナル・シリーズの他の曲がどんどんCD化され、この曲だけが置いていかれたのは、こういう秘策があったのですね。70分を超えるCDに本がついて2000円ですから、涙ものです。もっとも置き場所が難しいのですが。演奏は、昨年発売された「吹奏楽 ゴジラ」のものよりも力がこもっているような気がします。

 

00/4/26

「スーパー・ノヴァ」

キング・レコードから発売された筝と尺八のトリオ、KOKOOのアルバム「スーパー・ノヴァ」 (KICP-716)に、ゴジラのテーマが入っています。お馴染みの旋律が、筝で爪弾かれたり尺八で奏でられるのはなかなかのものです。この一曲のために買うのはどうかと思いますが、他の収録曲が、ピンク・フロイド、ツェッペリン、ビートルズ等々ですから、私と同世代の方には、他の曲も含めて面白く聞けるのではないでしょうか。(ちなみに筆者は、ロック系は全く疎いのですが。)少なくとも、ハリウッド版の時に出たハードロック版やジャズ版よりいいですよ。まあ、和楽器だから心が和むというのも事実なのですけど。

 

00/1/8

「伊福部昭の世界」

ポリスターより「伊福部昭の世界」というCDが発売されました。言わずとしれた伊福部音楽再評価のきっかけとなった東宝レコード版のCD化です。4年ほど前にSLCがこのシリーズのCD化に着手したのですが、途中で止まってしまい、今回は別のレーベルからの発売です。本来なら貴重なアンソロジーなのですが、CD化の歴史はLPの時とは逆で、映画音楽全集10枚組の方が既に出ています。入門盤としてしか意味がないとも思ったのですが、ライナーに入っている” 伊福部昭<映画音楽作品>全リスト”はハンディな資料として、便利かもしれません。もっとも小林・井上の「伊福部昭の映画音楽」(98 ワイズ出版)には匹敵しませんし、同書に井上氏が書いているように”全リスト”と言うのは、未確認のものがあまりにも多く、誇大表示だということになります。なお、LP版発売時と今回のCD化とに行われた作者インタビューがライナーに入っています。なお、グラモフォン・ジャパン(April 2000 p75)に簡単な紹介文が載っています。

 

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