CD新譜情報98

 

98/12/21

「日本の吹奏楽98 vol.12」(ソニー)

コンサート情報の欄に書いた大津シンフォニックバンドの「シンフォニア・タプカーラ」第三楽章の演奏を収録したCDが発売されています。実際に入手して聞いてみましたが、オーケストラ版と遜色の無い出来のようです。この作品の鍵である重低音もよく表現できています。3月の全楽章の演奏に期待がもてそうです。

 

98/12/16

「モスラ ザ ベスト」(東芝EMI)

かつてコロンビアから「ベスト オブ モスラ」というCDが出ているが、内容はまったく異なる。コロンビア版はモスラのシリーズ化に乗じて、昔の「ゴジラ・ボーカルコレクション」等から落ちていた「とんでこいモスラ」等々の曲をCD化するためのものであった。今回のCDは、勿論コロンビア版同様、「モスラ(1961)」「モスラ対ゴジラ」「南海の大決闘」「ゴジラvsモスラ」の曲を含んでいるが(重複するものも当然にある、)新モスラシリーズの主要楽曲を含んでいるのが特徴である。<おっと、ここは伊福部音楽のページだから、渡辺俊幸さんの曲は関係なかった!>伊福部マニアは購入する必要は全くないし、新モスラシリーズのサントラを揃えた人にも不要なCDかと思うが、一枚でおいしい所を聞くには便利な、まさにベスト版である。しかしながら、ライナーに解説が全くないのが不満である。ユーメックスは、モスラ3のサントラ(完全版でないほう)にも、全く解説を付していない。ちょっと手抜きではないか?私でよければいつでも書きますよ!

 

98/9/8

"Monster Mania" (VARESE SARABANDE VSD-5969)

これもまた、輸入盤のご紹介です。アメリカ版ゴジラの公開を機に作られたものですが、副題が"music from the classic Godzilla films (1954-1995)"です。しかも全部デジタル新録音です。スコアは東宝から借りたのかな?でも、演奏は結構笑えるものもあるので、耳こぴーかもしれませんね? ちなみに、HMVでは入荷実績なしとのことですので、興味のある方はTower Recordへ。収録曲目は以下の通りです。

  1. Godzilla 1954 - Main Title Theme
  2. 曲のテンポ・ブリッジ(ラシド)とかからは、むしろSFファンタジー第一番といった方が適切です。

  3. Destroy All Monsters March
  4. 邦題は「怪獣大戦争マーチ」なのですが。雰囲気は、オスティナート版より原曲に近い。もっとも、私は八朝氏が指揮された上海版をイメージしてしまうのだが。

  5. Godzilla vs. Mothra Suite
  6. 曲目としては、"Main Title, The Letter, Song of Mothra, Mothra March"となっています。メインタイトルは結構雰囲気出ていて、東京国際映画祭ではじめて見た時の映画の興奮が蘇ります。二曲目は、「世界中の泥棒をつかまえているパパへ。」というセリフを思い出してください。「モスラの歌」は導入部が映画の雰囲気をうまく再現しています。ヴォーカルがないので、寂しいのですが。最後の「モスラマーチ」という曲名は何とかして欲しい。同じアルバムにデストロイアが入っている以上、「vsデストロイア」も見ているだろうに。勿論、丹沢を進むゴジラ対自衛隊というシーンの曲ですが、日本では一般に「メーサーマーチ」と言うものです。

  7. Godzilla 1984 - Main Title
  8. 小六さんの曲ですので、コメントは略。勿論、オリジナル版のサントラは持っているのですが。(ゴジラ大全集版がほしい!)

  9. Godzilla 1984 - Love Theme
  10. 小六さんの曲ですので、コメントは略。封切りの時、立ち見で見たのが懐かしい。

  11. KingKong vs. Godzilla - Godzilla Revived / KingKong Transport Operation
  12. 前半は、重低音がよく響きます。氷山から登場するシーンというより、東北本線に向かって進撃するシーンのイメージでしょうか。アレンジが名盤「ゴジラ伝説」を彷彿とさせます。後半の自衛隊マーチは、ロンドのかぶさり方のズレやテンポから、むしろ「埋没作戦準備」を思いださせます。

  13. Godzilla vs. Space Godzilla - Main Title
  14. 現代的な服部さんの曲は、アメリカ人のテンポがよく似合う。

  15. Godzilla vs. Space Godzilla - Love Theme
  16. 服部さんの曲ですので、コメントは略。

  17. Godzilla vs. the Sea Monster - The Departure from Retch Island
  18. 佐藤さんの曲ですので、コメントは略。

  19. Godzilla vs. Destroyer - Main Title / Destroy Hong Kong
  20. 低音の響きが良いですね。ゴジラの旋律からデストロイアの旋律に変化するあたりは、鳥肌が立つくらいです。

  21. Godzilla vs. Destroyer - Requiem
  22. 金管の物寂しい導入で始まり、原曲よりもゆったりめの演奏が胸に迫ります。

  23. Son of Godzilla - Godzilla and Minilla
  24. 佐藤さんの曲ですので、コメントは略。あのユーモラスな曲です。伊福部先生の重い曲の中に、ほっとできる軽快な佐藤さんの曲が入るというのが、ゴジラのアルバムの王道でしょうか。

  25. Son of Godzilla - Kamakilas
  26. 東宝レコードの名盤「ゴジラ」に収められたこの曲のデジタル・ステレオ録音って、このCDが初めてでしょうか。

  27. Godzilla vs. Biollante - Main Title
  28. 原曲との違和感が極めて小さい演奏です。

  29. Godzilla vs. Biollante - Biollante
  30. 「ビオランテ」というより、白神博士が撃たれた後のイメージでしょうか。

  31. Godzilla vs. Biollante - Super X-2
  32. こういう騒々しい曲は、アメリカの管弦楽器のものですね。そういえば、この映画の封切り時はアメリカ滞在中だったので、帰国してから今は無き大井武蔵野館で見たのが唯一のスクリーン上映だった。

  33. Godzilla vs. KingGhidra - Opening and Attack on the City
  34. 記念すべき伊福部先生のゴジラ復帰作品です。深海に沈むようなオープニングから、いきなりギドラのテーマに飛んでしまいます。従って、「対決のテーマ」はカットされています。

  35. Godzilla vs. KingGhidra - Terasawa and Emmy / Goodbye, My Home Town
  36. フルートの演奏が「エミーのテーマ」の鍵です。サントラ以外では、伊丹での93/11の演奏がCD化されていますね。それに、交響ファンタジー(91/12)という作品もありました。

  37. Godzilla vs. MechaGodzilla - Main Title
  38. ちょっと音が軽いような気がしますが、まあまあでしょうか。

  39. Godzilla vs. MechaGodzilla - G-Force March
  40. テンポよく「Gフォースマーチ」が響くのですが、物足りない演奏です。

  41. Godzilla 1954 - Requiem
  42. テンポが遅めで重厚さが逆に失われています。いわゆる「平和の祈り」です。

  43. Godzilla 1954 - Reprise

最初の曲の繰り返しかと思ったら、暫く無音の後に足音とともに、ハードロック調のゴジラがかかります。そういえば、暫くブルーオイスターカルトの”ゴジラ”を聞いていないな。

もし、映画の英語版のタイトルわからなかったら、「小笠原怪獣ランド」へ。

 

発売日不明

「The Monster Movie Music Album」(SILVA SCREEN)

輸入物のCDで全体として78分33秒のCDの中に、伊福部先生のゴジラの曲が6曲計13分12秒です。残りは、キングコング等アメリカの特撮作品の楽曲です。イギリスの会社からの発売で、全曲98年2月のプラハ市交響楽団の演奏による新録です。入手するのが難しいかもしれないので、全曲のコメントを付しておきます。

ゴジラ(1954) メインタイトル:冒頭に足音と鳴き声が入りますが、現地で新規に録音したものであり、オリジナルとは印象が随分と異なります。曲の部分は、オリジナルよりテンポが速めで軽いイメージ。SF交響ファンタジーに近いでしょうか。

三大怪獣地球最大の決戦 ゴジラ海より現る:タイトルからイメージされるのは“太平洋のゴジラ”ですが、実際は横浜に現れてラドンとの戦いとなる“ゴジラ対ラドンT”と思われます。ラドンのモチーフの演奏テンポが異常に速く、変です。

怪獣総進撃 メインクレジット:いわゆる東宝マーク後の「怪獣総進撃マーチ」です。テンポはオリジナルに近い。

メカゴジラの逆襲 メカゴジラ2:M7の“メカゴジラU”です。重低音が騒々しいが、中盤のフルート・鉄琴といった部分の演奏はオリジナルに近い印象です。

怪獣大戦争  怪獣大戦争マーチ:ゆったりとした導入部から、オリジナルより多少緩めのテンポで進行します。管・打楽器の騒々しい部分とそれ以外との落差が激しく聞こえます。

ゴジラ(1954) エンディング:合唱が入るのだが歌詞はよく聞き取れません。少なくとも、「やすらぎよ光よ」ではないようです。曲の後に、足音や声が再び入りますが、1分以上もオリジナルと全然異なる音を聞かされるのは苦痛かもしれません。

楽曲の録音は、1998/2/6-2/8 プラハのスタジオにて行われ、合唱は2/14にロンドンのスタジオで別録されています。

 

98/9/18

「ゴジラvsヘヴィーメタル」(東芝EMI)

ハリウッド版ゴジラの公開に便乗した企画ものの一つ。売りとしては、ゴジラのメインタイトルと怪獣総進撃のメインクレジットを、元たのきんトリオの野村義男が演奏していることくらいでしょうか。ヘヴィーメタルという割にアレンジにインパクトが弱く、眠気を催してしまいます。コレクターと野村義男ファン以外の方にはお勧めできません。

 

98/9/4

「カツライスの音楽世界」というコンセプトのシリーズ第二弾が発売になっています。勝新太郎と市川雷蔵の作品のサントラということは、以前に紹介しましたが、今回も「勝新太郎コレクション」・「市川雷蔵コレクション」と「忍びの者/陸軍中野学校」に伊福部先生の曲が含まれております。幸い、「御用牙/子連れ狼」には入っていません。でも、2つの「コレクション」は2枚組なので、各3,800円もしてしまうのですが。これまでに出た各種の伊福部先生の映画音楽CDに収録されていない曲も多く、購入する価値は高いです。

 

98/8/25

カメラータ・トウキョウより、”「鬢多々良」/伊福部昭作品集”が、再発されます。前回より値段も下がり、税込み¥2,940円です。収録は、物云舞、ヴァイオリン・ソナタ、サハリン島土民の三つの揺籃歌、郢曲「鬢多々良」です。(表記は、CDより。一般的な曲名と少し違います。)

 

98/7/24

「ゴジラ・ジャズ」(キングレコード)

「ゴジラ」「キングコング対ゴジラ」「モスラ対ゴジラ」「三大怪獣地球最大の決戦」及び「空の大怪獣ラドン」「キングコングの逆襲」に登場する楽曲(すべて伊福部作品ですね)をジャズにアレンジした作品。アレンジャーは、ジャック・ウォルラス氏。全般に渋い仕上がりという感じか。伊福部先生の作品をジャズにアレンジする試みは昔から多く、今でもSLCから発売されている「CONTATTO CON L'ORIENTE」には、ジャズ版のゴジラのテーマが入っています。(私は通販時に買ったので、現在の市販バージョンを持っていません。)

 

発売日不明

輸入盤の紹介です。ハリウッド版ゴジラの公開に合わせて、北米にて発売されたCDです。

THE BEST OF GODZILLA 1954-1975 (GNPD 8055)

THE BEST OF GODZILLA 1984-1995 (GNPD 8056)

「vsデストロイア」公開時に発売された"Then"・"Now"とも異なり、”モスラの歌”を新旧両バージョン含む等日本国内のどのバージョンとも異なる怪作。東宝からも北米での発売を前提に許可を取っており、中身は正統なもの。但し、ボーナストラックとして、Neil Norman氏及びシンセ演奏によるゴジラのテーマ、怪獣大戦争マーチが収録されている。(ジャケットは、宇宙船vol.85のp55を参照ください。)銀座の山野楽器での価格は、¥2,080で、7月末に筆者がハワイで確認した店頭価格$14.95とほぼ同水準である。(おいおい、何しにハワイへ行ったの?)

 

98/6/26

「カツライスの音楽世界」というコンセプトのもと、勝新太郎と市川雷蔵の作品のサントラを発売する企画の第一弾(キングレコード)です。「座頭市 音楽旅」(3枚組)と「眠狂四郎 音楽控」(2枚組)には、これまでCD化されていない伊福部作品が収録されています。一部作品でマスターテープの発見されていないものについては、既発のCDからの流用もありますが、サウンドトラックからの抜粋も含んで、両優の代表作シリーズを全作品網羅する企画です。伊福部作品は見事に分散しているため、5枚とも買わざるをえませんでした。音楽のみならず、各映画作品の解説も詳細であり、貴重な音源です。(筆者は最近座頭市を見直しているので、絶妙のタイミングだった。)

 

既発売

「シグナルズ・フロム・ヘヴン」(佼成出版社)

"マリンバとウィンドアンサンブルのための「ラウダ・コンチェルタータ」"が入っています。Minatoyaさんからのメールで発見しました。基本的にはアレンジ版なのですが、吹奏楽中心なので新鮮に聞こえます。

 

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