コンサート情報2001

 

2001/12/24滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールにて「交響譚詩(吹奏楽版)を演奏

かつて「シンフォニア・タプカーラ」の吹奏楽版で、1998年の全日本吹奏楽コンクールで金賞(第三楽章のみ。全体は、翌年に初演。)を獲得した大津シンフォニックバンド(OSB)が、今度は「交響譚詩」の吹奏楽版に挑みました。群馬県高崎在住の高木登古氏による編曲は伊福部先生の許可を得ているということで、二十五絃筝版に続いての新しい「交響譚詩」の誕生となりました。当日は、ホールに聴衆が溢れ、一部モニター鑑賞を已む無くされた方もあったほどで、地元を含めた厚い支持層の存在を確認できました。このOSBの第43回定期演奏会では、この他に小山清茂氏の「吹奏楽のための木挽歌」、和田薫氏の「吹奏楽のための交響的印象「海響」やチャイコフスキーの「くるみ割り人形」(季節柄!)などが演奏され、大変熱の入った演奏を楽しむことができました。「交響譚詩」については、管弦楽版を聴きなれた耳にはやや物足りなく感じる部分もあったのですが、吹奏楽による編曲の演奏としては素晴らしいものと評価できると思います。

 

2001/11/29奏楽堂にて「熊祭りに行く人を送る唄」を演奏

東京芸術大学主催の日本”うた”シリーズ1「日本歌曲の流れ」(全4回)の第3夜に「ギリヤーク族の古き吟踊歌」より「熊祭りに行く人を送る唄」が演奏されました。 さすがに、「ギリヤーク」の一部のためだけに、会社を早めに出る訳には参りません。全曲なら何とかするのですが。

 

2001/11/23日刊工業ホールにて松の実會第133回秋期演奏会

野坂惠子さんが主催される生田流筝曲松の実會の秋期演奏会にて、「二十五絃筝甲乙奏合 交響譚詩」が再演されました。演奏会自体は、午前11時30分開演からの長丁場ですが、実際の「交響譚詩」は18時過ぎからの演奏で、当日予定(「映画情報」参照)のあった私は、17時10分頃開始予定であった第三部からの参加となりました。入場無料で、いわゆるお弟子さんたちの発表会的なイベントなので、雰囲気も厳粛なリサイタルと少し異なります。また、野坂惠子さんは朝からほとんど出ずっぱり状態で、事前には期待しないでほしいとまで言われていたのですが、実際の演奏を聞いたところ、初演よりもテンポのメリハリもあり、ずっと情感の入った演奏だと思いました。ミスタッチで壇上のお二人が顔を見合わせ、客席が暖かな笑いに包まれたのも、こういった場だったこともあるし、演奏された二人のお人柄かとも思いました。低音筝の奏者は野坂衣理さんとなっていますが、これは初演・CD録音ともで担当された小宮瑞代さんのことです。(ご存知ない方のために、付言しておくと、野坂惠子さんのお嬢さまです。)

 

2001/11/17日暮里サニーホールにて「ヴァイオリン協奏曲第1番」(ピアノ版)第1楽章を演奏

伊福部先生の楽譜出版に忙しい中野恵さんが、20回アデカ・富士通ジョイントコンサートにて先頃出版された「ヴァイオリンと管弦楽のための協奏風狂詩曲」(ピアノ・リダクション版)第1楽章を自ら演奏されました。私は自分の講演会と重なり、残念ながら涙を飲みました。めぐまる。さん、また演奏してくださいね。

 

2001/11/4東京音大芸術祭にて「ヴァイオリンと絃樂の為のソナタ」を演奏

同大学の1年・2年からなるバルバロ弦楽群が、作曲科2年鹿野草平さん編曲になる「ヴァイオリンと絃樂の為のソナタ」を演奏(同大学A館ホール)しました。朝9:40から10:20というとんでもない時間のため、開演時に聴衆は10名程度。ラストのこの曲の終演時でも20名程度という状況でしたが、なかなか熱の入った演奏を聞かせてくれました。もっとも本来がヴァイオリンとピアノの曲ですから、ややバランスがオリジナルと異なった感が否めませんでした。ただし、トムトムを入れたあたりに、伊福部音楽への熱い思いが十分に感じられました。基本的にギター曲やソナタ等を絃樂オーケストラ用に編曲するのが、バルバロ弦楽群のメインとのことで、面白い試みかと思いました。

 

2001/10/20津田ホールにて「二十五絃筝甲乙奏合 交響譚詩及び「琵琶行」を演奏(同内容11/1名古屋ザコンサートホール)

恒例の津田ホールにおける野坂惠子第十八回リサイタルは、無事終了しました。作者自ら超絶技巧を要すると書いた、完全なオケ曲の初の筝曲化は、確かに凄まじいまでの技巧を要する難曲でした。渾身の演奏は、小宮瑞代さんとの息の合った二重奏もあり、聴衆を深い感動に導いたのでしたが、当日演奏予定最後の『琵琶行』でミスタッチが目立つほど、野坂先生は疲労されていました。それでも、アンコールで「交響譚詩」から第一譚詩を弾いていただき、聴衆としては嬉しかった反面、野坂先生のご健康が気になるほどでありました。編曲というより、ほとんどリライトとなったようですが、まだまだ伊福部先生の創作意欲は衰えていないようです。2ヶ月後のCD発売が大変待ち遠しく思います。

 

2001/10/8西洋館倶楽部にて「七夕」(二十絃筝版)を演奏

平成13年10月8日(祝)の「杉村祥子筝コンサート」において、伊福部先生のお弟子さんであります堀井智則氏の編曲による「七夕」(二十絃筝版)が初演されました。元の曲がピアノ版だという雰囲気を残した編曲で、とても興味の深い出来映えでした。なお、堀井氏の委嘱初演2作品「二十絃筝曲 艶楽」及び「フルートと二十絃筝のための萌黄色の朝への前奏曲」も演奏され、伊福部楽派の香りをたっぷりと味わうことができました。会場となった西洋館倶楽部はツタの絡まる洋館で、昔の東宝吸血鬼映画を思わせるようなたたずまいでした。映画のロケに使えそうです。

 

2001/9/8日暮里サニーホールにて「郢曲 鬢多々良」を演奏

時々伊福部作品を取り上げているアマチュアの邦楽合奏団「まどか」の第10回記念定期演奏会にて、「郢曲 鬢多々良」が演奏されました。以前(9年前!)の定期演奏会でも聞いたことがありますが、「まどか」の演奏はおきまりの日本音楽集団とも微妙に異なって、面白いと思いました。今回は、8月の海外演奏旅行の帰朝演奏会(8/13ブタペスト・8/17 ウィーン)となるとのことで、力の入った演奏となりました。アンコールで「鬢多々良」の後半を繰り返して演奏してくれ、結局3時間近くかかりました。聴衆もかなり多く、興奮のひとときでした。確かに日本音楽集団の演奏に比べると、一つ一つの楽器のキレが良くなく、ハーモニーがうまく噛み合っていない局面もありましたが、生演奏で「鬢多々良」を聞くという幸福感に勝るものはないのではと思いました。9年前と比べて、客演の助っ人が随分と減っていて、「まどか」の団員レベルが随分とアップしていることがわかります。今後の活躍に期待したいものです。

 

2001/9/2調布市マルシャリンホールにて「日本組曲(ピアノ版)」を演奏

調布市の飯野病院の7階という変わった場所にあるホールにて、フィリッピンのピアニストDr. Raul Sunicoによる”「ハーモニーの家の会」チャリティーイベント企画・森の会コンサート2001 東京編”が開かれ、その中で「日本組曲(ピアノ版)」が演奏されました。以前にロシア人ピアニストの演奏された「日本組曲」という例もあったのですが、フィリピンという南方出身の方でどうかという危惧がありました。私は行けなかったのですが、それでも土俗のリズムを感じることの出来る素晴らしい演奏だったようです。思えば、フィリピンと伊福部作品は切っても切れぬ仲ですからね。意外と伊福部音楽の遺伝子が伝わっていたりして。

 

2001/8/12秋篠音楽堂にて「ギターのためのトッカータ」を演奏

近年精力的に伊福部作品を演奏されている哘崎考宏さんが、お得意のレパートリーの中から「ギターのためのトッカータ」を演奏されました。奈良の秋篠音楽堂(近鉄西大寺ならファミリー6F)での演奏会でしたが、お盆の季節に大変盛況だったようです。もっとも渋滞に巻き込まれてしまい、車での往路は大変ご苦労されたとのことです。

 

2001/7/10・11千葉県文化会館及び東京芸術劇場にて「バンドのためのゴジラ」を演奏

7/10及び11の両日東京音楽大学シンフォニックウィンドアンサンブルの定期演奏会にて、”バンドのための「ゴジラ」マーチ”及び”バンドのための「ゴジラ」ファンタジー”が演奏されました。CDも発売されている、伊福部ゴジラ音楽を和田薫さんが編曲したものです。指揮は、CD版と同じく汐澤安彦助教授です。他に演奏されたのは、スパ−ク「アロ−ザのための音楽」、ホルスト「組曲第2番へ長調」、2001年度全日本吹奏楽コンク−ル課題曲、ストラヴィンスキ−「バレエ組曲『火の鳥』」でした。いずれも平日夜ということで、私は行くことができませんでした。

 

2001/7/8御茶の水ギターギャラリーNにて「七夕(ギター・フルート二重奏版)」等を演奏

2000年ギター六重奏編曲版で『日本組曲』中の「盆踊」を演奏して絶賛された哘崎考宏さんが、日本のギター製作家の作品を紹介するのがテーマというコンサート「銘器で聴く日本の歌」で、上記の編曲版を演奏されました。静かな「七夕」はフルートとの二重奏で、とても良かったです。是非、DANROKUによるギター六重奏編曲版の「盆踊」等と合わせて、全曲演奏に挑戦してみてください。予定されていたもう一曲の伊福部作品の映画音楽は、筆者の推定通り「座頭市ニ段斬り」のタイトル曲でした。原曲はギター二重奏とオケがバックで、それを一本のギターでやるのですから、奏者の力量が伺えます。他に演奏されたのは、ギター独奏で三宅榛名編「日本のうた」より抜粋、栗塚修一作曲「雪の夜の幻想」、フルートと二重奏で野田暉行編「こきりこ変奏曲」でした。様々な銘器によるギター独奏も、久保真由美さんのフルートとの二重奏も、哘崎考宏さんのMCもとっても良かったです。終了後、打ち上げと称して、哘崎氏を囲んで夜遅くまで、飲み続けてしまいました。

 

2001/7/2隅田トリフォニー小ホールにて「物云舞」を演奏

吉村七重さんのプロデュースによる邦楽展にて、田村法子さんの二十絃筝演奏で、「物云舞」が演奏されました。割と頻繁に演奏される曲ですが、生で聞いたことのない方、筝曲に馴染みの薄い方には、入門用として安心してお勧めできる作品と思います。

 

2001/6/29名古屋市民会館大ホールにて「管弦楽のための日本組曲」を演奏

3月の定期演奏会で「リトミカ・オスティナータ」を取り上げた名古屋フィルが、今度は「管弦楽のための日本組曲」に挑戦したようです。指揮は初演の際に振った井上道義でした。詳細は名古屋フィルまで。

 

2001/5/19札幌ちえりあホールにて札幌同人吹奏楽団が「吉志舞」を蘇演

益野大成氏が4年がかりで演奏の許可を伊福部先生から取り付けた、幻の曲「吉志舞」が、札幌同人吹奏楽団の2001年演奏会〜民族系吹奏楽の夕べ〜で蘇演されました。いつもより多く聴衆が入ったと益野氏は言われましたが、残念ながらホールの半分も埋まっていませんでした。それでも、楽団は素晴らしく、熱の入った演奏を聞かせてくれました。モチーフ的には他の楽曲に使われたものもありますが、予想した通り「協奏風交響曲」の初演のように深い感動を与えてくれました。「ロンド・イン・ブーレスク」と同じ主題も出てくるのですが、展開が全く異なりますし、これだけ頻繁に転調する曲も珍しいです。1度目は、自分の中で十分に消化できませんでしたが、アンコールでもう一度聞かせていただいたら、感動で鳥肌が総立ち状態でした。良い意味で裏切られたと言ってよいでしょう。「兵士の序楽」が割とストレートな曲なのに、主題が転変してカノン形式が入り、実は低音管楽器が聞いたことのある旋律を奏でていたり、とても玄妙な曲です。元々海軍の軍楽隊というセミプロのための曲ですから、アマチュアが弾いてもまったく自然です。今回の演奏も、一回目より疲れていたはずのアンコールの方が、聴衆も楽団も乗っていたように思います。未だ蘇演されない「寒帯林」への期待が、ますます高まりました。東京等遠方から聞きに行ったのは、私も含めて数名といったところでしょうか。その後、故伊福部アイ夫人の甥の勇崎氏や、北海道在住の音楽関係者たちと、遅くまで飲み語ったのでした。(皆さん、大変楽しい一夜をありがとうございました。色々話題に上った企画が実現できるよう頑張りましょう!)

 

2001/5/16津田ホールにて日本音楽集団「鬢多々良」を演奏

日本音楽集団の第163回定期演奏会にて再び「鬢多々良」が演奏されました。伊福部先生も来られていたみたいですね。私は仕事も忙しく、行けませんでした。でも、結構チケットを買っておきながら、行けなかったファンが、かなりいたみたいです。平日の夕方というのも考えものですね。

 

2001/4/26津田ホールにて「箜篌歌」を演奏

4月26日午後6時半から津田ホールにて行なわれた「桐韻会」定期演奏会にて、「箜篌歌」(菊池梯子編)が演奏されました。十七絃筝の編曲版で、野坂惠子さん演奏の二十五絃版とは趣が違うのかもしれません。

 

2001/4/7武蔵野市民文化会館大ホールにて一橋大学管弦楽団が「交響譚詩」を演奏

3月10日の個所でも触れていましたが、一橋大学管弦楽団がドイツ演奏旅行から帰国後の4月7日19:00より、スプリングコンサートとして武蔵野市民文化会館大ホールで「交響譚詩」を再度演奏しました。一橋大学出の部下からレベルの高いオケですとは聞いていたものの、弦楽器の安定感・重厚感はアマチュア・レベルとしては相当高いものだったのではないでしょうか。惜しむらくは、第一譚詩序盤の管楽器のミスでしょうか。でも、段々管楽器もよくなってきて、第一譚詩のラストあたりからは十分楽しめましたし、チャイコフスキーの交響曲第4番あたりでは管楽器が光っていました。アンコールに外山雄三の「管弦楽のためのディベルティメント」を持ってくる等意欲的なプログラムでした。

 

2001/3/17愛知県芸術劇場コンサートホールにて「リトミカ・オスティナータ」を演奏

3月17日(土)名古屋フィルの定期演奏会”「音楽世界の旅」シリーズ第268回ジャパン紀行”にて、「ピアノとオーケスラのためのリトミカ・オスティナータ」が演奏されました。指揮は藤岡幸夫さんで、ピアノは横山幸雄さんでした。

 

2001/3/10一橋大学講堂にて一橋大学管弦楽団が「交響譚詩」を演奏

3月10日(土)午後4時より、一橋大学管弦楽団が同大学兼松講堂にて「交響譚詩」が演奏されました。同管弦楽団は、3月下旬のドイツ演奏旅行のレパートリーにこの曲を入れているとのこと。また、帰国後4月7日19:00より、スプリングコンサートとして、武蔵野市民文化会館大ホールでも演奏されます。(別掲参照下さい。)

 

2001/2/27北海道音更町にて「ピアノ組曲」等演奏会

2000年11月18日に釧路市道立釧路芸術館において第一回が開かれた「北方の鼓動」演奏会の成功を受けて、第二回が伊福部先生の父上がかつて村長を務められた音更で行われました。当日のプログラムは以下の通りです。「音更町・町歌」伊福部昭、「日本旋法による踏歌」伊福部昭(ギター:田中俊光)、「弦楽四重奏曲」早坂文雄(テラ弦楽四重奏団)、「サハリン島先住民の三つの揺籃歌」伊福部昭(ピアノ:波塚三恵子 ソプラノ:菊地江)、「ピアノ組曲」伊福部昭です。片山杜秀氏によるレクチャーが間に入ったとのことです。大変羨ましいですね。

 

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